journal vol.001:seasonal flowers&plants

冬が終わり、うららかな春を迎えると、木々は芽吹き、花は色づき、目に入る自然の景色も変わってくる。植物がいきいきとするこの季節、ミズイロインドのショップや展示会でも花のアレンジをお願いしている『小路苑』の吉田耕治さんに、おすすめのアレンジを聞いた。

「新芽がたくさん出てくるこの季節、植物たちの“芽吹き”をテーマに花材を選びました」と語るのは東京・神楽坂にある『小路苑』の吉田耕治さん。今回取り入れたのは、キブシ、グミ、ニワトコ、トキワガマズミ、クリスマスローズ、フランネルフラワー、エリンジウム、ニゲラ、ユーカリなど、これから開花を迎える季節の花や新芽の付いた枝物など全9種類。

黄緑色の花を房状に付けたキフジは、春の代表的な花木。ニワトコは山野に見られる落葉の低木、他にもエリンジウム以外はすべて野や山に咲く花ばかり。吉田さん曰く「アレンジ自体は自然のまま、あるがままを意識して、あまり作り込まない方向でまとめました」。野や山で、自由に伸び伸びと枝葉を伸ばす木々や、控えめながらも凛と自生する花々、そんな自然の中にある植物たちの風景が浮かんでくる。

赤い花が咲いているように見えるのはトキワガマズミ。実はまだつぼみで、これから香りのよい白い花が咲く。また、冬から春にかけて開花を迎えるのがクリスマスローズ。花色や花形のバリエーションが多く、白というよりはグリーンよりの花の色でうつむき気味に開花するのが特徴。ふわっとした質感のフランネルフラワーもまた、少しグリーンがかった白。「春に向けて花や木に彩りが出てくると、淡くきれいな緑色である『若芽色』や、鮮やかな緑というよりは落ち着いた深みのある緑色がこの季節、多く見られます」

今回のようなアレンジを生けるのは、大きめの花器にばさっと入れても良いし、例えばここから枝だけ抜いて飾ってもいい。枝物は花よりも持ちがいいので、長い期間、飾っておけるのもの魅力。「枝物はバランスが難しいという声もありますが、選ぶコツは一本にしたときのシルエット。動きがあるものを選ぶことで、あえてラフな感じで飾っても美しく収まります。面白い動きの枝を選んで、形にハマらないで飾った方が自然の形に近くなる。野に咲く花木はそんな自由なスタイルがおすすめです」

小路苑
〒162-0817 東京都新宿区赤城元町3−4
http://www.kojien.jp/top.html

 

photo:Akiko Baba text & edit:Chizuru Atsuta

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