journal vol.008 INTERVIEW 【MANA YAMAMOTO】

「mizuiro ind / ミズイロインド」が、初となる写真集を2023年12月1日(金)より蔦屋書店等にて発売。

長年ブランドのルックブックを手がけてきたスタイリスト 山本マナ氏を迎えて、彼女が日頃から信頼を置く7名のクリエイターと共に「mizuiro ind」という一つの世界観を多彩に表現してもらった贅沢な一冊。

多種多様なクリエイションが息づくエネルギッシュな本書は、観る者の心を打ち、今後のインスピレーションの源になっていくだろう。

歳月をかけて完成したという一冊に山本マナ氏がどんな想いを込めたのか、ものづくりの上で大切なことを伺った。

 

 

「今回写真集を作るきっかけとなったのは、「mizuiro ind」から2023年に20周年の節目を迎える際に何かできないかと相談があってのことでした。

何か新しいものを作り出すというよりかは、ブランドという一つの軸に対して色んなクリエイターの方々の視点を加えたら、とてもスペシャルなものができるのではないかと思ったのが始まりです。

また、この本では洋服をスタイリングしてたくさん見せていく通常のルックブックよりも、「mizuiro ind」自体の空気感が伝わってほしいと思っていたのも根底の一つにありました。ルックブックとは違う何か。そう小さく思っていたことがだんだん大きくなって現実的になっていったと思います。」

 

 

160ページにわたる今作に名を連ねたのは、戎康友氏、岡本充男氏、横浪修氏、田中雅也氏、UDA氏、Lukasz Wierzbowski氏、熊谷勇樹氏といった国内外のカメラマン、メイクアップアーティストたち。

それぞれ「mizuiro ind」の世界観を多角的な視点で捉え、個性豊かな表現へと解釈。山本マナ氏が信頼を寄せる間柄だからこそ実現した唯一無二の一冊となっている。

 

BY YASUTOMO EBISU

 

「普段からお仕事をしているからこそ、信頼していて、あまり語らなくてもアイデアを共有できる方々。

例えば戎康友さんとの作品はドキュメンタリーの要素を入れたかったので、北海道の大自然を車で旅しながら自由に収めていきました。また、映画のようにロングストーリーで撮影したい気持ちもあったので、同じ撮影チームで秋と冬の2回に分けて赴いて、季節と共に変化する絶妙な空気感も取り入れられたと思います。戎さんには、写真集の他に動画も撮っていただきました。」

戎康友氏が撮影した動画は、「mizuiro ind 写真集」の特設サイト(https://mizuiroind.jp/pages/mizuiroindbook)

と本書を記念したエキシビション会場(@青山 5450 THE GALLERY DATE;12/8-12/10)で目にすることができる。

 

  

 BY MITSUO OKAMOTO

 

「岡本充男さんには、「mizuiro ind」をファッション・ビジュアルとして面白い捉え方ができないかと相談しました。通常のルック撮影ではなく、もっと違ったファッションのアプローチで。結果、ウィメンズとメンズのモデルに出演してもらって「ジェンダーレス」に纏える魅力を伝えつつ、とても強さのある仕上がりになったと感じています。」

 

BY OSAMU YOKONAMI

 

「横浪修さんには、また違う形でのドキュメンタリー作品を撮影していただきたいとお願いしました。「mizuiro ind」のお洋服を渡して、ブランドのコンセプトの一つの「エイジレス」というキーワードと、あとはリアルさがあるといいなと相談して。それで実際のご親族の親子三世代での撮影をしてくださったんです。横浪さんらしい、面白いストーリーになったと思っています。」

 

BY MASAYA TANAKA

 

「田中雅也さんとの撮影はお洋服をもう少し見せたいというベースがあったのですが、その中でも自由さみたいなところは大切にしていました。時折差し込んでいるイメージカットもすごく効果的で、メリハリのある詩的なストーリーになったと感じています。」

 

BY UDA

 

「UDAさんには、メイクアップアーティストという立場からお洋服を見たらどんな風になるのかと思って相談したら、面白いアイデアをいただいて。アート感のあるとても印象的な作品になっているので、ぜひたくさんの人たちに見ていただきたいです。」

 

BY LUKASZ  WIERZBOWSKI

 

「Lukasz Wierzbowskiさんは、本書で唯一海外の方。ロンドンで何度かお仕事をしたことがあって、彼の繊細で真面目な人柄とチャーミングで夢がある写真とのバランスが好きなんです。一緒に日本とベルリン、ポーランドで作品撮りもしました。だからこそ、遠くに住んでいるけれども、とても信頼していて、お願いする前から彼だったらこうなるんだろうなという想像がありました。外国の景色の中で「mizuiro ind」がどのように映るか、この企画で感じれたらと思いました。一つ海外の方のストーリーが入ったことで、また少しボリューム感も変わった気がしてます。」

 

BY YUKI KUMAGAI

 

「熊谷勇樹さんは、「mizuiro ind」のルック撮影を何シーズンか一緒に撮影していたので、よりお洋服を知っているカメラマンさんでした。そんな彼が、今までとは別の角度からブランドを見た際にどんなビジュアルを描くのか。モデルには以前ルック撮影にも出演していただいた藤本祐さんを提案し、自由な環境で「mizuiro ind」のお洋服を着てもらった時にどうなるのかを投げかけてみました。結果、熊谷さんらしいどこかシリアスな雰囲気が漂う美しい仕上がりになったのではないでしょうか。」



全体を振り返ってみて

 

「全体を通して言えるのは、みんなで一冊を作り上げたということ。

それぞれが「mizuiro ind」に愛情を持って、自分の表現の仕方を考えてくださっている。

もしかすると、私の中ではあまり意識的にメインで立っていた感覚はなかったかもしれません。

それは普段も割とそうで、一緒にみんな同等で遊びたいというか楽しみたい気持ちがあるんです。

みんなが楽しんで作った作品はきっと手に取る人にも伝わるはず。

この一冊がこれまでをまとめた作品集ではなく、「mizuiro ind」にとっても今後に向けた一冊になっていけばいいなと思っています。」

PROFILE : 山本マナ

北海道生まれ、スタイリスト。雑誌や広告、カタログ、アーティスト等のスタイリング など幅広く活動を行う一方で、個展の開催などパーソナルワークにも取り組み、2020 年には自身のオンラインギャラリー「SNÖ」をオープン。「mizuiro ind」との親交も深く、 長きにわたりシーズンビジュアルのスタイリングを担当。 http://www.manayamamoto.net/

 

text / misaki imamura

photo/ ataro dojyun(TRYOUT)

 

 

 

 

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